Short Story Garden

すぐに読めちゃうショートストーリを公開しています。

隣の席

高校時代の苦い思い出がある。

高校3年間ずっと同じクラスだった女性がいる。

とても綺麗で、学校中でも人気者だった彼女。

 

隣の席になったこともある。

背中の中ほどまである綺麗な黒髪に陽の光が当たってとても綺麗で、

何度も見惚れた。

 

ただ、彼女には少々問題があった。

男性にモテる、だから常に男性の姿があった。

年上の男性とホテル街を歩いているのをクラスメイトや先輩や後輩が何度となく

目撃していた。

高校3年間、一度も彼女はできなかった。

恋愛にはずいぶん奥手になった。

 

せめて隣が、あなたじゃなければ、人生少しは変わっていたのだろうか。

そう考えながら、今日も自宅と会社の往復を行うのだった。

 

せめて隣が、あなたじゃなければ

確かに恋だった[お題配布サイト]

 

愛の言葉

今のご時世珍しい政略結婚だった私たち。

結婚生活は地獄そのものだった。

 

2年半だったけれど、私には永遠の時間に感じてしまった。

あの人は私を愛してなんかいなかった。

愛の言葉なんて言われたことがなかったから。

 

あの人は私と結婚をする前から交際していた女性といつも一緒だった。

自宅にも1週間に2~3回帰ってこればいい方だ。

1週間一度も帰ってこないこともある。

 

先日、あの人の不倫相手の女性から連絡があった。

「あの人が事故にあった、奥さんに病院に来てほしい」

私より多くの時間を過ごしていたあなたが奥さんでしょ?

私はただ、あの人の会社のために結婚しただけの女よ。

なんて返してやった。

そして、言ってやった。

「もうあの人との離婚届だしたから、あの人とは他人なの」

電話を切って、着信拒否にしてやった。

 

あの人からは愛の言葉なんてひとつもなかったけど、

私はあの人をあいしていた・・つもりだった。

でも、私もあの人を愛してなんてなかったのだ。

私もあの人に愛の言葉なんて言ったことなかったのだ。

 

でももう私は自由。

これからは自分の好きなように生きていこうと思う。

 

 

愛の言葉なんてひとつもなかった

確かに恋だった[お題配布サイト]

 

 

初恋は実らないっていうよね

「私、あの人と付き合うことになったの」

「そうよかったね、おめでとう」

 

私は今、ちゃんと笑えてるのだろうか。

妹の恋を応援しなくちゃいけないのよ。

ぎゅっと自分のこぶしを握り締めているため、爪が食い込んで痛い。

笑え、笑え、と自分に暗示をかける。

 

 

妹の恋人は私の元彼だ。

2つ年上の、私の同級生だった。

高校2年生の時に告白して、大学卒業まで付き合っていた。

高校の桜の木の下で告白すると、思いが叶う。

そう聞いて彼を呼び出して告白して、思いが叶った、そう思った。

大学卒業して、就職先が離れてしまったため疎遠になっていて、

1年後、彼から別れ話をされてしまったのだ。

 

その2年後、妹と付き合うとは・・・。

 

「あいつ気づいてなさそうだった? 俺があいつとお前2股かけてたって」 

「ふふふ、お姉ちゃん。全然気づいてないよ」

 

帰ろうと自室を出て、一階に降りてリビングに入ろうとしたときに

そんな声が聞こえてきた。

ふと思い出した。

3年生になってから受験に集中したいから、とあまり逢えなくなったことを。

 

そうか、あの頃から浮気していたのか・・・。

ちいさく「ふふふふ」と笑い声をこぼしてゆっくり自宅を後にする。

 

あの男はまたきっと浮気するだろう。

妹もあの男も地獄に落ちればいい。

 

そう簡単に初恋は実らない、そしてジンクスさえも憎いのだ。

 

 

確かに恋だった[お題配布サイト]

 

百年の恋も冷める

「百年の恋も冷める」なんて言葉がある。

昔、そんなタイトルのドラマもあったようだ。

 

でも、本当に百年に恋をも冷めさせるほどのものってなんだろう。

その人によって考え方は違うのかもしれない。

 

私もその一人なのだろう。

 

休日でも子供たちと遊ぶでもなく、昼前まで惰眠を貪り、

起きてきたと思ったら最初の言葉が「飯は?」である。

私は返事をせずに、食事を用意してテーブルへ運ぶ。

無言で食べ始めたのを確認し、お昼に帰ってくるであろう

子供たちの食事の支度を始める。

 

子供たちは夫の連れ子だ、でも私にとても懐いてくれている。

子供たちが夫に注意すれば、逆ギレする。

また手を出していないだけマシだ。

でも、逆ギレした次の日から3日間ほどは私にも子供たちにも

とても優しく接してくれる。

 

それをされてしまっては私は・・・

でも子供たちのためには・・・

 

なんていつも考えてしまう。

浮気や不倫をしてくれればいい。

あの夫への思いなんてすぐ冷めてしまうのに・・・。

 

 

『百年の恋をも冷めさせてほしい』

私はそう思いながら、食事を終えた夫の食器を静かに手に取ったのだった―——。

 

 

確かに恋だった[お題配布サイト]

最初で最後の恋

私は社会人になって1年目。

希望の会社の希望の部署に入社できたのはいい。

それはいいのだが。

 

忙しすぎる~~。

 

教育担当の先輩はとても厳しい人。

でもちゃんとできればちゃんと褒めてくれる、とても年上の人。

上の役職にも付けるほどに仕事ができる人なのに、

現場仕事がいいと、現場に残ってる人だ。

 

「おや、もう終わったのかい?」

「はい、確認していただけますか?」

 

任されていた資料作成が終わったので、

上司でもあり教育担当の先輩に資料を提出した。

しばらく確認していた上司からOKをもらい、ホッと安堵のため息を漏らす。

 

「今日、私でよかったらお昼一緒に行かないか?」

「え?」

 

ビックリした。

今までそんなこと言われたことなかったのに。

 

「私でいいんですか?」

「ああ」

「ぜひ、ご一緒させてください」

 

 

 

 

「・・・なんてこともあったねぇ」

「私、とっても緊張してたのよ」

2周り近く歳の離れた私の上司であり、旦那でもある。

 

なんて不毛な恋だなんて思ったけど、好きになっちゃったら仕方ないわね

「それは私も同じだよ」

 

 

なんて不毛な、それでも恋

確かに恋だった[お題配布サイト]

 

忘れられない恋がある

もういつだったかなんて忘れてしまった。

そんな昔の話。

 

確かに恋だった」。

 

恋人からひどい振られ方をした。

そんなとき、慰めてくれたあなたに惹かれてしまった。

でもあなたは好きになってはいけない人だった。

どうして好きになってしまったんだろう。

 

「君をずっと大切にする」

なんて甘い言葉を信じた私は馬鹿だったのだ。

あの人に騙されているなんて思わなかった。

既婚者で、子供もいるなんて。

 

私はもう恋愛なんてできない。

でもあれは最初で最後の恋だった。

 

確かに恋だったのだ。

 

 

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