最後に彼女を見たのは、病室だった。
3歳年上の幼馴染の彼女。
ずっと片思いしてた。
彼女は大学で出会った男性と交際し、そのまま学生結婚した。
子宝にも恵まれて幸せそうだった。
が、結婚して数年後、いま、彼女は病院のベッドにいる。
先日、彼女は交通事故に遭い、意識不明の重体だ。
おそらく助からないだろう。
彼女はずっとこのままか、もしくは―——。
彼女の唇にそっと指を触れさせる。
「さようなら、ずっと大好きだよーー」
一粒の涙を零し、彼女の病室からそっと廊下へ。
彼女への大切な想いを生涯忘れることなく生きていく。
ずっと永遠に―——。
『触れられなかったキスの味を、僕は生涯忘れない』